お疲れ様です。今回は「人生の確変状態はギャンブル?運のポテンシャルを活かすために」をお伝えします。
人生の確変状態は、ただの偶然でしかないのか?
運のポテンシャルを活かすにはどうすべきか?その方法を探すために、いったん「ホットストリーク」という現象について考えてみましょう。
ホットストリークはギャンブルの世界でおなじみの言葉で、ポーカーやルーレットなどで連勝が続く状態のことです。いわゆる「勝利が勝利を生む」状態で、ホットストリークに入った者は、通常よりも高いパフォーマンスを発揮します。いわば、「人生の確変状態」です。
この現象が起きるのはギャンブルだけでなく、スポーツ、アート、ビジネスなどの世界でも似たような現象が起こることは珍しくありません。
たった9年のあいだに「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズや「フォレスト・ガンプ/一期一会」などの傑作を連発した映画監督のロバート・ゼメキスや、ノーベル賞につながる研究を数年で成し遂げたジョン・フェンが良い例でしょう。ごく短い期間で、後世に残るレベルの成果を達成した天才の例はいくつも見られます。
しかし、ここで誰もが気になるのは、「ホットストリークは偶然の産物なのか?」という点でしょう。もしホットストリークに偶然以外の要素があるのなら、私たちでもゼメキスやフェンと同じような人生の確変を起こすことができるはず。ホットストリークの発生はただの偶然なのか、それとも何らかの発生条件があるのでしょうか?
その答えを探るために、ノースウェスタン大学のホットストリーク研究を確認してみます。
調査を始めるにあたり、研究チームは、まずゴッホやジャクソン・ポロックといった有名アーティスト2128人のキャリアを分析。80万枚に及ぶ作品データをAIが深層学習で処理し、それぞれのアーティストがたどった作風の変遷を定量的に調べました。
さらに、同じように4337人の映画監督の作品データ約79000本、20040人の科学者が出した学術論文などもまとめ、それぞれが世界にもらたしたインパクトをチェックしています。要するに、研究チームは、画家・映画監督・科学者という3つのジャンルで、ホットストリークの発生パターンを調べたわけです。その結果を一言でまとめると、次のようになります。
「ホットストリークに入った者の多くは、直前に多様な実験を行ったが、連勝が続いてからはリソースを一点に集中していた」
多くの成功者は、キャリアをスタートさせてしばらくは、複数の対象にリソースを分散させ、色々なスタイルやテーマで試行錯誤を重ねていました。しかし、何らかの成果が上がったあとは、ひとつの表現や研究だけにリソースを集中させ、それまでの経験を活かしてより豊かな成果を生み出す傾向があったのです。
天才は「幅広い実験」と「一点集中」をくり返す
ホットストリークを起こした有名人の例を紹介します。
- ポスト印象派を代表する画家のゴッホは、1888年よりも以前は、静物画や鉛筆画などを中心に手がけ、ミレーの作品に似たアースカラーを好みました。しかし、ホットストリークが起きた後は画風を一変させ「夜のカフェテラス」や「ひまわり」のように色鮮やかな名作を次々に生み出しています。
- 化学者のジョン・フェンは、ホットストリークに入る前は、分子ビームからジェット推進といった複数のテーマを手がけましたが、エレクトロスプレーイオン化の研究で成果を上げたあとは同じテーマへ集中的に取り組み、2002年にはノーベル化学賞を手にしました。
ホットストリークを起こした天才は、みな「幅広い実験」と「一点集中」をくり返していました。このトレンドは、絵画・映画・科学の3分野すべてで確認されたうえに、19世紀から現代までのどの時代にも似た傾向が見られたことから、普遍性が高い現象なのだと考えられます。
また、この傾向は逆もまたしかりで、研究では以下のような結果を得られています。
- 幅広い実験をくり返したあとで焦点をひとつに絞らないと、ホットストリークの発生率は大きく下がる
- ホットストリークが落ち着いたあとで、再び幅広い実験に戻らなかった場合も、その後のホットストリークの発生率は大幅に下がる
つまり、「幅広い実験」と「一点集中」はつねにワンセット。このふたつを交互にくり返すことで、私たちは運を正しく活かせるようになります。是非、参考にしてください。
今回の内容は以上になります。ご閲覧ありがとうございました。