お疲れ様です。今回は「ココナッツオイルを飲んでもダイエット効果なし!摂取カロリーを減らさない限り体重は減らない」についてお伝えします。
ココナッツオイルを飲めば痩せれるのか?
ここ数年で、もっとも話題になった健康法といえばココナッツオイルでしょう。ココナッツの種子から抽出した油脂で、他のオイルにはない特別な効果があるというのです。
例えば、ある医師が書いた本では、ダイエット効果、肌や髪のアンチエイジング、アルツハイマーの予防、糖尿病の改善といった効果が並んでいます。1日に数さじのココナッツオイルを飲むと、体内にケトン体と呼ばれる物質が作り出され、手軽に満腹感を得られるうえに、脳の機能までアップするというのです。
もはや魔法の霊薬のような扱いですが、果たしてココナッツオイルはそこまでの力があるのでしょうか?
まずはココナッツオイルのダイエット効果について見てみましょう。この問題については、2015年にオーストラリア政府が決定的な論文を出しています。
これは、MCTオイルに関する749件のデータを精査したもので、科学的な信頼度はトップクラスと言えます。
MCTオイルは中鎖脂肪酸の略称で、ココナッツオイルの主成分です。体脂肪になりにくい性質を持っているため、ココナッツオイルにもダイエット効果があるのではないか?と言われ始めたのです。まずは論文の結論を引用します。
「過去に行われた実験のデータをまとめると、普段の食事に使う油を長鎖脂肪酸からMCTオイルに変えた場合には、体重・体脂肪・ウエストサイズを減らす効果が見られた」
つまり、いつもの料理に大豆油やオリーブオイルを使っている人は、調理油をココナッツオイルに切り替えれば体重が減りやすくなるわけです。この意味では、「ココナッツオイルはダイエットに役立つ」と言っても構いません。
摂取カロリーを下げない限り体重は減らない
が、ここで大事なのは、ココナッツオイルが体脂肪を燃やしてくれるわけではない点です。あくまで「他の油よりも体脂肪になりにくい」だけで、巷に出回る健康本が言うように、ココナッツオイルを飲むだけで痩せるようなメリットは得られません。
実際、2008年にアメリカのコロンビア大学が行った信頼度が高い実験でも、いくらココナッツオイルを飲もうが、結局は摂取カロリーを下げない限り体重は減らないとの結論が出ています。
ダイエットを狙ってココナッツオイルを飲んでも、余計なカロリーが増えるだけです。そのぶん逆に健康には悪いとすら言えるでしょう。
1人の医師による個人的な体験談でしかない
次に、「ココナッツオイルが認知症に効く」という主張を見てみましょう。ある医者によれば、1日に30gのココナッツオイルを飲むと体内で「ケトン体」と呼ばれる物質が生まれ、これが脳のエネルギーになってアルツハイマー病などの予防になると言います。
しかし、困ったことに、現時点でココナッツオイルと認知症の関係について、人間を対象にした実験は1件も行われていません。実は2017年にアメリカで長期試験が行われる予定でしたが、実験の参加者が集まらず、取りやめになってしまいました。
それにも関わらずココナッツオイルがブームになったのは、理由があります。2012年に、アメリカに住むメアリー・ニューポート医師が、自身の夫にココナッツオイルを試したところ、認知症が劇的に良くなったとのレポートを発表したからです。
この報告は、世界中の健康マニアの間ですぐに広まり、「自分の親にも効果が出た」などの口コミが激増。やがて噂は日本にも伝わり、テレビが取り上げるに至りました。
つまり、すべては1人の医師による個人的な体験談でしかありません。このレベルの証拠しかないにも関わらず、ココナッツオイルの効能を宣伝するのには大きな問題があります。
また、ココナッツオイルは、いかに体脂肪になりにくいとはいえ、油の固まりである点でラードやバターと変わりません。噂を信じて1日に30gも飲み続ければ、カロリーオーバーや心疾患リスクの上昇もあり得ます。そのまま飲まずに、あくまで料理に使うのが正解です。
今回の内容は以上になります。ご閲覧ありがとうございました。