お疲れ様です。今回は「糖質制限は最強のダイエット?日本の国際医療研究センターが発表した論文での結論」についてお伝えします。
定着されている最強のダイエット法?
「糖質制限」は、今や定番の健康法やダイエット法として定着した感があります。「糖質制限こそ最強のダイエット法だ」という主張も多く、一部の医師からは「気分が改善する」「癌の治療に効果がある」といった発言もあり、中には「人生のファイナルアンサー」とまで呼ぶ人までいるほどです。
確かに、糖質を抜くだけで空腹が減り、健康に痩せられるというのだから実に簡単です。近年ではライザップのようなダイエットサービスでも糖質制限が採用され、大きな成果を上げているようです。
ここまでの支持と実績があるなら、糖質制限こそが最強の健康法にしてダイエット法だと断言しても構わないように思えます。果たして糖質制限は、どこまで科学的根拠のある手法なのでしょうか?
糖質制限のダイエット効果は、他の方法と大差ない
まずは糖質制限のダイエット効果から見てみましょう。
現時点で最も信頼度が高い研究は、2014年にトロント大学が発表した大規模な論文です。
太りすぎと肥満の成人における名前付きダイエットプログラム間の減量の比較:メタアナリシス|ライフスタイル行動 |ジャマ |JAMAネットワーク (jamanetwork.com)
これは、過去に行われた大量のダイエット研究から、質の高い7286人分のデータを分析したものです。
比較対象になったダイエット法は、低脂肪、カロリー制限、高タンパクダイエットなど全11種類。数あるダイエット法から、最も体重が減りやすいチャンピオンを選んだわけです。その結果は次のとおりでした。
「ダイエット開始から12か月が過ぎると、どのダイエット法を使っても同じぐらい体重は減る。ダイエットの手法に差はない」
どんなダイエット法を使おうが、1年続ければ同じぐらい体重は減ります。糖質制限を支持する人の中には「カロリーを気にしなくていい」といった意見も見かけますが、これは明確に間違いです。
スーパー糖質制限でも目立った効果は無い
このように言うと、「スーパー糖質制限なら大きな効果が出るはず」といった反論が出ることがあります。「スーパー糖質制限」とは、一般的な糖質制限よりも更に糖質の量を減らす手法で、だいたい1日の総カロリーの10%以下を目指すのが普通です。
ところが多くの実験では、スーパー糖質制限でも目立った成果は出ていません。
例えば、2006年にオーストラリアの政府機関が行なった実験では、50代の中高年を、「糖質量が4%の食事」と「糖質量が40%の食事」の2グループに分けました。食事のカロリーは1日1500kcalに揃え、8週間でどんな違いが出るのかをチェックしたのです。
アイソカロリー超低炭水化物/高飽和脂肪食と高炭水化物/低飽和脂肪食の体組成と心血管リスクの比較 |栄養と代謝 (springer.com)
糖質量が4%といえば、米やパンは完全に食べられず、ほぼ緑黄色野菜しか口にできないレベルの制限食です。かなりハードなスーパー糖質制限と言えるでしょう。
しかし、8週間後にこれといった違いは出ませんでした。糖質をギリギリまで削ろうが、普通に糖質を食べようが、どちらも同じように体脂肪が減っていたのです。
つまり、ダイエットで本当に大事なのは、色んな方法に目移りしないで、最初に選んだ方法をしっかり続けることです。白米やパンを好きな人が、無理して糖質制限を選ぶ必要はありません。
糖質制限は身体に安全なのか?
現在、糖質制限の世界は、賛成派と否定派で意見が分かれています。賛成派は「糖質制限は様々な病気の予防になる」と主張し、反対派は「糖質は大事な栄養素なので長期間の実践は危険」だと言います。
確かに、日本は世界でも糖質の摂取量が多い国です。それにも関わらず日本は西洋諸国よりも長寿国なのだから、別に糖質を食べても問題はないように思えてきます。が、その一方では、糖質制限のメリットを主張する医師が多いのも確かです。なんとも困った問題ですが、果たして科学的には決着が着いているのでしょうか?
残念ながら、現時点では糖質制限に不利な結果が出ています。中でも有名なのは、2013年に日本の国際医療研究センターが発表した論文でしょう。
研究チームは、過去のデータベースから17件の研究をチョイス。約27万人ものデータを精査して、糖質制限と死亡率の関係を割り出しました。摂取カロリーの比較などは行われていませんが、現時点では最も信頼に足る結論と言えます。
その結果は、「糖質制限は全体的な死亡率を1.3倍ほど上げる」というものでした。なんと、糖質制限ダイエットを5年以上続けると、死亡率がアップする可能性が高いというのです。やはり、糖質は人間に欠かせない栄養だと考えたほうが良さそうです。
今回の内容は以上になります。ご閲覧ありがとうございました。