記事一覧

美男美女の魅力は最初だけ!コミュ力に左右する長期的な人間の魅力において、ルックスの果たす役割

お疲れ様です。今回は「美男美女の魅力は最初だけ!コミュ力に左右する長期的な人間の魅力において、ルックスの果たす役割」についてお伝えします。

コミュニケーションにルックスの良さが役立つのは間違いない

コミュニケーションをうまく取るためには、顔の作りやファッションなどの外見的な要素にこだわり、自分の魅力を高めねばならない。そんな思い込みをしている方も多いと思います。(自分もそう思っていました)

しかし、それは勘違いだと言われてもすぐ納得できる人は少ないでしょう。見た目がよい人物が周囲から好かれやすいのは間違いなく、そのおかげで話を聞いてもらえる確率も上がるでしょう。それならば、見た目の改善にリソースを投じるのは当然のように思えます。

ルックスの効能を示したデータも多く、ある研究では、美男美女の教師に習った学生は、そうでない教師についた学生よりも、「授業の内容に説得力があった」と答える確率が高く、実際にテストの成績も良い傾向がありました

Communicator physical attractiveness and persuasion. (apa.org)

その他の研究でも、私たちの多くは、外見の良い人物が発したメッセージほど信じやすい現象が報告されており、コミュニケーションにルックスの良さが役立つのは疑いようがありません

学習に対するインストラクターの魅力の影響:一般心理学ジャーナル:Vol 143、No 3 (tandfonline.com)

ルックスの魅力、影響力は短期間のみ。長くは持たない

しかし、実はルックスが持つ影響力は、世の中で思われるよりも長くは続きません。たいていの場合、皆が認めるような容姿を持った人物ほど時間とともに人気が下がり、一方で普通のルックスを持つ人の魅力度は上がっていくのが一般的なのです。

一例として、テキサス大学などの実験では、129人の学生にインタビューを行い、同級生に感じる魅力のレベルが1年をかけてどう変化するのかを調査しました。結果は以下のとおりです。

  • 学期の始まりには、ほとんどの学生が、ルックスやファッションの優れた同級生を魅力的だと評価した
  • 3か月後には見た目の影響は薄れ、ルックスが悪い学生も「魅力がある」と評価されるようになった

ルックスが絶大な影響を持ったのは最初だけで、時間をかけてお互いを知るにつれて、魅力的な人物の対象が変わったわけです。

約350人の男女を対象にした別の調査でも結論は同じで、「ルックスが良い人に魅力を感じる」と答えた者は全体の2~3%に過ぎませんでした。

On the proper functions of human mate preference adaptations: Comment on Eastwick, Luchies, Finkel, and Hunt (2014). (apa.org)

多くの人は、思いやり、道徳性、公平な性格などを「魅力の要素」として挙げており、ルックスを重要視するほうが少数派でした。この研究を手掛けた心理学者のポール・イーストウィックは、こう指摘します。

「よく言われるように、時間をかけて相手を知るだけで、その人はより魅力的になる。そこで影響を持つのは見た目ではなく、各人の『ユニークな個性』こそが、長期にわたって魅力を定義する」

Leveling the playing field: Longer acquaintance predicts reduced assortative mating on attractiveness. (apa.org)

ルックスが私たちの魅力を高めるのは、せいぜいが初対面から1か月まで。それ以降は「個性」の影響が強くなり始め、長い目で見ればほぼ無関係なレベルに落ち着きます。

心理学の世界では、好感度の高い人が持つものは、全てが良く見えてしまう現象が知られてきた

もう一つ、中国で行われた実験も見ておきましょう。

性格と身体的魅力 |SpringerLink(スプリンガーリンク)

研究チームは、120人の男女に60枚の顔写真を見せ、それぞれのルックスの良さを評価させました。全ての写真には「この女性は親切です」「この男性は意地悪です」などの文章が添付され、各人物の性格が一目で分かるようにデザインされています。

その後、全てのデータを分析してみると、たいていの被験者は、性格の良い人物を「見た目が良い」と感じ、性格が悪い人物を「見た目が悪い」とみなす傾向が認められました。その人物に抱いた好感度によって、ルックスの印象が変わったわけです。

その理由は簡単で、もともと心理学の世界では、好感度の高い人が持つものは、全てが良く見えてしまう現象が知られてきました

印象の良い人物が勧める商品を無条件で信じてしまったり、好感を抱いた相手の嘘を見抜くことができなかったりといった経験をしたことがある人は多いでしょう。好感度が高いからといって必ずしも信頼できるとは限りませんが、ついひいき目に見てしまうのが人間です。

同じ心理はルックスにも当てはまり、好感度が高い人を見ると、私たちの脳は「そんなに素敵な人なら、見た目も良いに違いない」と自動的に判断します。全ての処理は無意識下で行われ、自分が好感度とルックスを結びつけたことに気づける人は、ほぼいません。

話をまとめると、誰もが羨む美男美女だろうが、ある程度の時間が過ぎればその威光は薄れ、別の要素が個人の魅力を左右し始めます。加えて、ルックスの評価には好感度の影響が大きいため、長期的には性格の重要度が高くなります。

そう考えれば、長期的な人間の魅力において、ルックスの果たす役割は少ないと考えるべきでしょう。英語のことわざにもあるとおり、まさに「美は見る者の目に宿る」のです。

今回の内容は以上になります。ご閲覧ありがとうございました。

ABOUT ME
Takaブログ
ストレスによる体調不良をきっかけに、体調管理・ヘルスケア・心理学等に関しての情報収集及び実践を繰り返しながら、日常生活のパフォーマンス向上に努めるようになった。 このブログでは上記の内容を中心に「科学的根拠のある情報」を発信しています。