お疲れ様です。今回は「鏡を見る回数やSNSの使用を減らし、脳の悪印象を和らげて楽観力を高める」についてお伝えします。
鏡を見る回数(外見チェック)を減らす
街中にあるトイレの鏡でメイクの状態を確認したり、窓に映り込んだ自分の姿を見て髪型を整えたり、スマホのインカメラを手鏡に使ったりと、さほど意識せずに自らの外見をチェックする人は多いと思います。
現代では平凡な光景ですが、実はこれらの行動は、私たちのメンタルを損なう危険性があります。その対策として最初に身につけたいのが、「鏡を見る回数を減らす」という習慣です。
フロリダ大学などが、かつて面白い実験を行いました。84人の女子大学生を集め、その半数にだけ「外見チェックの回数を減らしてください」と指示し、2週間でどのような変化が出るのかを調べたのです。
研究で使われた「外見チェック」の定義には、「鏡で自分の姿を確かめる」だけでなく、次の行動も含まれます。
- 友人に「今日の服は似合ってると思う?」と確認する
- 自分の体の嫌いなところをファッションで隠す
- 頻繁にメイクや髪型を直す
- 自分の見た目の若さを他人と比べて喜ぶ、または悲しむ
いずれの行動も、多くの人が無意識に行うものばかりではないでしょうか。研究チームは、これらの「外見チェック」が、知らないうちに私たちの幸福度を下げていると考えたわけです。
果たして結果は予想通りで、「外見チェック」を制限したグループは自分の体への不満や老化のマイナスイメージが大きく減り、逆に自尊心は増加していました。研究としてはまだ初歩の段階ですが、いつも自分の外見を気にしていたら、少しずつ不満が溜まっていくことは容易に想像がつきます。
心当たりがある方は、自分の見た目や若さを確かめてしまう回数を、できるだけ減らしてみてください。スマホのメモ帳やカレンダー等で「外見チェックをしない」と登録しておくと良いでしょう。
Effects of safety behavior fading on appearance concerns and related symptoms. (apa.org)
SNSの使用を控える
近年、社会学などで「SNS」がメンタルに悪影響を与えていることを示したデータが増えてきています。
なかでも精度が高いのは、フリンダース大学が20の先行研究を分析した系統的レビューでしょう。SNSの悪影響に関する大量のデータをまとめて大きな結論を出しており、信頼性が高い内容です。
Effects of safety behavior fading on appearance concerns and related symptoms. (apa.org)
要点をまとめると、SNSの利用には、自分の体への不満や鬱症状と正の相関がありました。SNSを使う時間が長くなるほど、「私の見た目は他人よりも劣っている」や「自分は老けている」などの劣等感が増してメンタルを病んでいくわけです。
また、写真や動画がメインのSNSが劣等感を生みやすい事実も確認されました。インフルエンサーや有名人の綺麗な加工写真など、現実とかけ離れた画像に何度も接するうちに脳内のイメージが歪み、心身にダメージを与えるようです。
(かつては私もSNS中毒だったので、使いたい気持ちはめちゃくちゃ分かります…。)
ガイドラインを定める
といっても、SNSの研究はまだ日が浅いため、どれだけ使用を控えるべきかの明確な基準はありません。そこで、ここではいま手に入る最良のデータを参考に、とりあえずのガイドラインを定めてみましょう。
- デジタル機器の使用は1日1時間までに抑える
いくつかのデータでは、スマホの利用が1日1時間を超えたあたりから、メンタルへの悪影響が出ると報告されています。いずれもSNSだけを対象にしたデータではないので注意が必要ですが、まずはこの時間を参考にしてみてください。
米国の若年成人における就寝前および睡眠障害に関するソーシャルメディアの使用:全国を代表する研究 |スリープ |オックスフォードアカデミック (oup.com)
就学前の子どもにおけるスクリーンベースのメディア使用と脳の白質完全性との関連 |小児科 |JAMA小児科 |JAMAネットワーク (jamanetwork.com)
- 定期的に1週間のSNS断食を行う
ハピネス・リサーチ・インスティテュートが行なった調査によれば、1週間だけSNSの利用を完全に止めた被験者は、幸福度が18%上がっています。
こちらもまだ初歩的な研究なので断言はできないものの、試しに月に1回のペースで1週間のSNS断食を行い、メンタルに変化が出ないかどうかを確かめてみるといいでしょう。
SNSは決して悪玉ではありませんが、フェイスブックやインスタグラムにより多くの人が外見への劣等感をこじらせているのは事実です。いまの段階では、意図的に距離を置いて使うようにしてください。
今回の内容は以上になります。ご閲覧ありがとうございました。