お疲れ様です。今回は「高品質なタンパク源でビタミンやミネラルを増やし、質の悪いタンパク質を減らして人体への悪影響を避ける」についてお伝えします。
質の良いタンパク源はビタミンやミネラルが多い
タンパク質は、細胞やDNAの修復に欠かせない栄養素であり、アンチエイジングに必須となります。できるだけカロリーの質が高い食材を選んでいきたいので、優れた食材を見ていきましょう。
カロリーの質が高いタンパク源には、次の特徴があります。
- プロトックスを起こす量が少ない
- カロリーあたりのタンパク質、ビタミンやミネラルが多い
プロトックスは、「酸化したタンパク質」をを意味する用語で、関節炎やアルツハイマー等の発症に中心的な役割を果たしています。鉄が腐食するのと同じように、タンパク質も酸素で劣化し、そのせいで人体に悪影響を及ぼすのです。
食事性タンパク質酸化:人間の健康に対する静かな脅威?:食品科学と栄養学の批判的レビュー:Vol 57、No 17 (tandfonline.com)
プロトックスの原因は様々で、例えば、劣悪な環境で育った牛はストレスで体内が酸化しやすく、加工のプロセスで大きな熱を加えたり、酸素や光に触れやすい場所で肉を保存したときにも劣化は起きます。この問題を完全に防ぐのは不可能ですが、口にするタンパク質のせいで肉体を老化させないためには、必ず把握しておきたいポイントです。
カロリーの質が高いタンパク源
カロリーの質が高いタンパク源は、以下の順番になります。
- ①卵白:タンパク質量が90%と多く、脂質や鉄分が含まれておらず、普段は卵の殻に守られているおかげで酸化が起きにくい優良食材です。
- ②鶏むね肉(皮なし):タンパク質量が80%程で、牛や豚などと比べるとヘム鉄と脂質が少ないため、酸化しづらい性質があります。ただし、一部の鶏肉は生育の段階で抗生物質が多用されていることが多いのが難点で、アレルギー体質の方などは抗生物質フリーの商品を選ぶように気を付けてください。
- ③魚介類:タンパク質量に50~94%のバラつきがあり、魚介に含まれるオメガ3脂肪酸はとても酸化ダメージを受けやすい成分です。タンパク源として魚介を選ぶときは、カワハギ、タラ、カジキ、キス、シーチキンの水煮のような、できるだけ脂質が少ない魚を選んでください。もっとも、オメガ3脂肪酸そのものは体内の炎症を抑えてくれる優秀な成分なので、サバやカツオのような脂質が多い魚でも、新鮮に食べられるのであれば積極的に摂取してください。
- ④カッテージチーズ:タンパク質量60~80%。脂質と鉄分が少ないため、それほど酸化は起きませんが、製造の過程で高温殺菌された場合、スーパーの棚に並んだ時点である程度の酸化が進んでいる可能性があります。できるだけ低温で加工されたものを選んでください。
- ⑤牛肉、豚肉、羊肉:タンパク質量は50~75%で、鉄分の他にもミオグロビンという酸化を促進する物質を多く含みます。これらの肉は脂身が多いものほど酸化が進みやすいため、できるだけ低脂肪なものを摂取するように心掛けてください。
なるべく、①~③までのタンパク源をメインの食材にするのがおすすめです。決して牛や豚が悪いわけではないものの、たまに楽しむぐらいにするのが無難でしょう。
必要なタンパク質の摂取量
カロリーの質が高いタンパク源を選んだら、次は「1日あたり、どれだけの肉や魚を食べるべきか」を考えましょう。簡単に述べると、「毎食毎に、握りこぶし1.5~2つ分サイズの良質なタンパク源を食べる」と意識するだけでも大丈夫です。
世界の政府機関が公表するガイドラインを見ると、「1日に体重(kg)×0.8のタンパク質を摂れば健康維持に必要な最低ラインを満たせる」といった基準を推奨するケースが多く、日本の厚労省も近い指針を出しています。体重が60kgの人なら、鶏むね肉を1日200gぐらい食べるイメージです。
ところが、ここ数年の調査により、従来のタンパク質の推奨量が間違っていた可能性が出てきました。それは、トロント大学の研究で、チームは「指標アミノ酸酸化法」という最新の調査法を使い、人体が本当に必要とするタンパク量を改めて計算しました。何故なら、古くから使われてきた「窒素出納法」という計測法は、以前から「必要なタンパク量が低く出やすいのでは?」との疑いがあったからです。
タンパク質のニーズを理解するための最近の進展 – 私たちはどのくらいの量、どのような種類を食べるべきか? (cdnsciencepub.com)
結果は予想どおりで、世界中で推奨されるガイドラインは、実際に必要なタンパク質量に比べて30~50%少ないことが分かりました。新たな計測値では、体重1kgあたり1.5~2.2gのタンパク質を摂るべきだというのです。
もちろん、一つの事例だけを参照するのは危険ですが、近年は似たようなデータが多く、49の先行研究を精査した2018年のメタ分析では、体をよく動かす人に最適なタンパク質量は体重1kgあたり1日1.62gと結論づけています。体重が60kgの人なら、1日に97gが必要な計算です。
ISSN Exercise & Sports Nutrition Review Update: 研究と推奨事項 |国際スポーツ栄養学会誌 (springer.com)
全てのデータを考慮して、現時点では、タンパク質の摂取は「体重1kgあたり1.5~2.2g」を目指すと良いでしょう。計算が面倒であれば、「毎食毎に、握りこぶし1.5~2つ分サイズの良質なタンパク源を食べる」でも大丈夫です。大まかな目安としては十分に使えるので、参考にしてください。
今回の内容は以上になります。ご閲覧ありがとうございました。